百万人署名運動ブログより転載します。

2月10日(木)午前10時~約1時間半ほど、今国会初めての衆議院憲法審査会が開かれました。衆議院で予算委員会が開かれている最中に憲法審査会が開かれるということは全く異例なことであり、今回の開催も前日に急きょ決まるということで、私たちにとっては突然の知らせでした。

けれども、この背景には「昨年10月の衆議院選後、与党と維新でつくる『与党側』の憲法審幹事懇談会に国民民主も参加するようになり、『週1回の定例日開催』を要求した。」(2.10付朝日新聞)ということがあり、改憲派の自民・公明・維新・国民の憲法審査会委員にとってはこの日の開催は「当然のこと」としてごり押しされていたようです。

今後、この「与党側の憲法審幹事懇談会」が主導して憲法審査会のありようがこれまでと大きく変えられようとしているということを10日の憲法審を傍聴して痛感しました。
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突然の開催にもかかわらず、この日、傍聴者は25人くらいかけつけ、マスコミ各社はカメラを含め20人以上が詰めていました。

維新や国民らの攻勢に立憲が「国民投票法改正や国会のオンライン審議の是非を優先して議論することを条件に」10日の開催に応じたと報じられていますが、この日の憲法審は主にこの2点についての各会派の意見表明と自由討論となりました。
改憲派委員は意見表明の前に、この日の憲法審査会開催について口々に「大変良かった」「歓迎する」「大変意義のあること」と喜びをあらわにし、立憲は「議論そのものは必要と思っている」と言い、日本共産党の赤嶺議員だけが「開くべきではなかった」と明言。国会審議へのオンライン出席をめぐる問題では与野党とも賛成という流れで進み、結果、憲法審査会が動き出したということでは全く危険な現状です。
(22・02.11付 東京新聞より)
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この日、私が一番びっくりしたのは、日本維新の会の三木圭恵議員の下記の発言でした。
三木議員は「いつまでも改憲ー護憲というイデオロギーに縛られ、国民の利益が最優先になっていない現状」の打破を訴えました。そして、新しい分野、例えばサイバー攻撃からの防衛ということで「敵基地攻撃においてサイバー攻撃を取り入れる場合、ミサイルを発射される前にサイバー攻撃で敵基地攻撃をできると仮定するとするならば、専守防衛との関係を整理する必要性があるのではないか」と述べて、新たな分野での法整備のために「憲法論議は待ったなし」と言われました。そして「改憲ありきの議論には応じられないなどという態度では進展がない」と立憲らを批判し、「古いものを見たければ博物館か国会へ行けという冗談が現実になってしまう」と揶揄したのです。

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彼女の言葉には一つ一つに違和感がありました。「改憲ー護憲というイデオロギー」と言うけれど、「9条改憲」一つとっても、私たちは「(侵略)戦争絶対反対」の立場から反対しています。かつて日本は、自衛の名でアジア侵略戦争に突き進み膨大な犠牲と悲劇を生み大破産しました。再びその歴史を繰り返してはならないと考えることは、単なる「イデオロギー」ではなく日本の労働者・市民の反省であり、戦後の日本の出発点であり、多くの命を奪ったアジアの人々との信頼関係をつくる大前提であり、時が経ったら忘れてよいのではなく引き継がれていかなければならないものだと私は考えます。
また、彼女は「国民の利益が最優先になっていない」と言うけれど、「国民の利益」とは何なのか?彼女は「サイバー攻撃に日本も日本企業も、そして個人もさらされている」と言っています。私は、日本企業の利益と労働者庶民の生活はまったく別物と思うのです。

憲法審査会の中ではよく「政局とは離れて静かな環境の中で憲法論議をしよう」と言われ、それが建前とされていますが、この日の憲法審を傍聴しても、現実はまったくそんなものではないと感じます。そもそも憲法審査会設置自身が、自民党の「9条改憲ありき」から始まっているのです。そして、いま「台湾有事」を口実にした日米軍事一体化の深化、中国への戦争体制準備の岸田政権にとって9条改憲は「待ったなし」なのです。上記の三木議員も発言の中で、松井代表の「参議院選挙と同時に国民投票を」という発言を引いて「分科会、小委員会を開いて…スピード感を持ってすすめていったらどうか」と言っていました。

この日の憲法審査会は、発言希望者がまだ5~6人いたところで時間が来て終了となり、残った発言者の件や次回の開催日は幹事懇談会で協議するとのことでした。毎週開催となるのか、危惧されます。

国会の外では、雨の中、改憲に反対する人々がかけつけ「憲法審査会を開くな!」と抗議の声を上げていました。戦争反対、戦争のための改憲反対の声を、今こそ大きく上げていきましょう!!(S)