百万人署名運動ブログより、丸ごと転載させていただきます。

11月14日(木)10時から、今国会3回目の衆議院憲法審査会が開催されました。
前回はこの9月に衆議院憲法審査会が欧州4カ国(ドイツ、ウクライナ、リトアニア、エストニア)に派遣した「憲法及び国民投票制度調査議員団」の報告とそれを受けた自由討議がありましたが、多くの発言希望者を残して時間切れとなったため、今回も引き続き自由討議が行われました。
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ところが、まず各会派の代表者が1人ずつ発言し、その後に他の委員が討議を行うという形で議事が進められたため(憲法審査会ではこのような議事進行が慣例となっています)、11時の終了予定時間までに発言の機会を得られた委員は各会派代表の6人とそれ以外5人の計11人で(発言者の質問に回答した者を除く)、またしても多くの発言希望者が積み残される結果となりました。

発言できなかった委員の中には自民党の石破茂氏がいて、佐藤勉会長が自由討議の打ち切りを宣言すると、憮然とした面持ちで「なぜ私に発言させないのか」という気持ちをありありと表していたのが印象に残りました。
「自民党の佐藤勉憲法審査会長は終了後、記者団に『視察報告に対する自由討議は今日で終わりということだ』と述べ、自由討議の継続などを求めている野党側をけん制』(『毎日新聞』)したそうですので、石破氏をはじめ今回発言できなかった委員たちがこの件について意見を述べる機会はしばらくないかもしれません。
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自由討議の継続について会長(=自民党)と野党側の思惑が食い違っているのは、今国会での改憲手続法(国民投票法)の成立をめぐるせめぎ合いがあるためですが、議場では終了予定時間が近づくと佐藤会長と与党側の新藤義孝筆頭幹事(自民)、野党側の山花郁夫筆頭幹事(立憲)、奥野総一郎幹事が笑みを浮かべながら議事の進行について(どういう順番で誰の発言を認めるか、逆に言えば誰の発言を認めないかを)相談しているのですから、いつものことながら国会というのは不思議なところだなぁと思いました。

というわけで、この日の審議ではどうしても皆さんにお伝えしたいというほどのやり取りはありませんでしたが、前回と同内容の発言を繰り返し、かつ、3人の幹事、委員につまらない(私の見解ですが)質問をしてただでさえ短い審議時間を空費させた日本維新の会・馬場伸幸氏の質疑を、大手メディアの記事をお借りして紹介します。
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海外視察は無駄?有意義?衆院憲法審で論争(『時事通信』)

「仕事をしないのに海外視察へ行くことに国民の怒りの声が届いている」―。
14日に開催された衆院憲法審査会の自由討議で、日本維新の会の馬場伸幸幹事長が税金を使った海外視察に疑問を呈し、参加した立憲民主、国民民主両党の議員が反論する場面があった。
審査会の与党と立憲、国民のメンバー計6人は9月後半、憲法改正手続きなどの調査を目的に欧州4カ国を訪問。14日はそれに関する2回目の討議が行われた。国民の奥野総一郎氏は「現に調査報告が開かれ、議論が進む面もある。無駄遣いではない」と意義を強調。立憲の山花郁夫氏は「2年前は維新も一緒に行った」と皮肉った。
奥野氏はまた、馬場氏の「仕事をしていない」との指摘に「むしろ与党側の不規則発言で(議論が)止まっている」と反論した。応酬は馬場氏が山花、奥野両氏を名指しして「見解を」と促したのがきっかけで、与党メンバーは発言しなかった。

維新、憲法審で立憲と山尾氏の「不一致」追及 議論参加狙い揺さぶり(『毎日新聞』)

14日の衆院憲法審査会で、日本維新の会の馬場伸幸氏は、憲法改正を巡る立憲民主党の姿勢の「不一致」を突いた。立憲は改憲に慎重だが、山尾志桜里氏は前回の自由討議で「手続き(国民投票法改正案)の議論と合わせ、憲法の中身に入るべきだ」と発言。馬場氏は「党を背負っての発言と解するが、見解を」と迫った。
これに対し、立憲の山花郁夫・野党筆頭幹事は「党の立場を離れて自由闊達な意見を、というのが自由討議だと承知しており、(山尾氏)個人としての発言と認識している」と釈明。続いて山尾氏は「よほど党の公的見解と違うならともかく、一定の幅の範囲で正しいことを言う限りは、発言の権利は保障される」と述べた。
維新は改憲議論に積極的な立場で、馬場氏の発言は、慎重姿勢を崩さない立憲を揺さぶる狙いとみられる。【浜中慎哉】
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どちらの質疑も海外視察団の報告とはまったく関係のない内容で、馬場氏には猛省していただきたいところですが、審査会での議論を空転させたという意味で、私たちにとっては歓迎すべき面もあったのかもしれません。

なお、上掲の記事にあるとおり、山尾氏が自らの発言について「正しいこと」と述べたのには驚きました。そう信じなければ国会議員は務まらないのかもしれませんが、私は議員の皆さんには自分の意見が正しいのか否かを常に自問自答しながら活動していただきたいと願います。
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この日も委員の出席率はきわめて高く、空席は2~4人くらいでした。
テレビカメラは前回より1台少ない4台、スチルカメラマンは前回並みの10人ほど、記者は少し減って20人くらいだったでしょうか。
この日も30人ほどの傍聴者が詰めかけ、多くの方が立ち見されていました。(G)