2月4日、NAZENいけぶくろ主催の「原発避難者の声を聞く会」がもたれ、双葉町からの避難者の亀屋幸子さんの話を伺いました。


昨年4・1の浪江への常磐線延伸などのDVD上映とNAZENいけぶくろの五條代表の主催者あいさつの後、亀屋さんがお話に入りました。
 「3・11以来どんなに苦しい思いをしてきたか」という言葉で始まった被災、避難生活。寒い日だった。命からがら家をでて、人が歩ってくる、ぞろぞろと、男の人が放射能がくる、逃げろ、と聞こえて一目散に車で逃げたが渋滞。水素爆発だから、どうしょう、逃げた、山の方へ。あとでわかったことだが、放射能の強い方だった、もっと早く教えてくれれば…。高3くらいの女の子が泣いていた、生理になったが交換する下着がないと。何ヵ所目かの避難先住宅で、夜ベランダに出たかった、友達この星見てるかな、この雲福島に繋がっているかな、と。そのうちテント広場があることを知った、テント広場がなかったら今の私はない。と。


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 東電前の集会で、「そんなにお金が欲しいんですか、私は健康を返して」と叫んだ。国会の先生、安倍が間違ったことを言っても誰も何も言わない。次々と溢れる避難者の生々しく切々な言葉が胸に迫る。家族内-親戚をめぐる葛藤、避難者いじめの体験。言葉を失い同時に怒りが沸いてきました。

何度も口をついてでた「あの日は一生忘れない」。そして「この国は助けてくれない、何でも隠そうとする」「東海第2の再稼働に絶対反対して下さい」との訴えがされました。


質疑では、原発避難者の住宅補償打ち切り問題がクローズアップされました。原発避難者への住宅支援が次々打ち切られ、山形県米沢市では雇用促進住宅からの「追い出し訴訟」が始まっている。安倍政権と福島県は、2020年東京オリンピックまでに原発事故をなかったことにするためには、原発避難者を「いないこと」にしなければならないからだ。しかし避難者たちは「被曝地帯にもどれるか」と不退転に闘っている。「最初は泣いてばかりいた」という亀屋さんが「東電が倒れる前に自分が倒れないこと」との言葉に、訴えを深く心に刻みました。
 NAZEN東京から、労組を軸にした反原発運動を作りたいと訴えがなされた。都庁レストランふくしま署名解雇当該の柿沼さんから「4・1浪江集会に参加して帰ってきたら解雇。福島署名をやっていたことが理由。小池とガチンコ勝負、都庁前をテント広場のようにしたい」と発言。40人が参加しての2時間半に渡る真剣で感動的集会でした。
 7年経った今も東電は責任をとらずあろうことか柏崎刈羽原発の再稼働を画策している。安倍政権は朝鮮侵略戦争準備にのめり込み、軍拡、改憲そして原発再稼働に走っている。トランプ米政権は、「核戦略の見直し」を打ち出し、小型核弾頭開発と核の先制使用を公然と語っている。安倍はこの政策を「高く評価する」と世界に言いはなった。核戦争は現実のものになり、しかも切迫しています。今こそ目前に迫った7年目の3・11 福島現地闘争に全力をあげて立ち上がろう。戦争反対、安倍打倒の闘いを大きく爆発させましょう。


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五條代表の主催者あいさつを紹介します。


間もなく、あと一月あまりで3.11から7年になります。この間、川内、伊方、高浜の原発計5基が再稼働されてしまいましたが、川内1号機は定期点検中、伊方3号機は昨年12月、広島高裁で今年9月までの運転差し止めを命じる仮処分が決定されましたので、今日現在稼働しているのは川内2号機と高浜3、4号機の3基です。
福島第一原発については、凍土壁が完成しておおむね凍結したとか、2号機でデブリの撮影に成功したとか、1号機では使用済み核燃料取り出しに向けて原子炉建屋最上階のがれき撤去を始めたとか、愚にもつかない宣伝が繰り返されていますが、いまだにアンダーコントロールどころではない状況が続いていて、廃炉などとうてい見通せない状況にあることは明らかだと思います。
そして、「県民健康調査」によれば、子どもの甲状腺ガンは昨年9月末までに「疑い」を含めると194人となっていて、2巡目の検査で71人、3巡目でも7人が判明しています。手術を終えた160人のうち良性結節だったのは1人だけでした。しかもこれがすべてではなく、県が把握していない患者がいることも明らかになっています。もちろん健康被害の問題は甲状腺ガンだけではないし、子どもだけではないし、福島県だけで発生しているわけでもありません。
そんな中、自主避難者への住宅支援を打ち切り、山形県米沢市では雇用促進住宅からの「追い出し訴訟」が始まるなど、福島への帰還を強制しようとする動きにはほんとうに目に余るものがあります。
そして、何よりも深刻なのは、今年の「原発のない福島を!県民大集会」が、3月17日に福島第1原発20km圏内の楢葉町で開催されることだと思います。
そのほか、日立がイギリスで進めている原発新設プロジェクトに3つのメガバンクや国際協力銀行が行う1.1兆円にも上る融資の全額を政府系の日本貿易保険が債務保証することになったとか、埼玉県議会が「世界で最も厳しい水準の規制基準に適合すると認められた原子力発電所の再稼働を求める意見書」を採択したとか、東北電力が基幹送電線の「空き容量」がないという理由で太陽光や風力などの発電設備の接続を拒んでいたのに実際には2%から18.2%しか使われていないことがわかったとか、なんとしても原発を存続させようとする勢力のすさまじい執念を表す、悪あがきと言うしかないようなニュースがどんどん明らかになってきています。
原子力規制委員会は昨年12月、あろうことか東京電力の柏崎刈羽原発6、7号機が新規制基準に合格したと発表しました。更田委員長は、1月11日に面会したいわき市長に福島第1原発で増え続けるトリチウムを含む処理水の海洋放出について意思決定しなければならない時期に来ていると言ったり、17日の定例会合では除染の目安とされている空間線量、1時間当たり0.23マイクロシーベルトを改めないと帰還や復興を阻害するから環境省は引き上げを検討すべきだと述べたり、むちゃくちゃな発言を繰り返しています。恐ろしいことにこの人物は、「実際に原発が動いている現場を肌で知っている人の数が少なくなるのは、一定の恐怖感をもっている」という認識の持ち主なんです。
私は、NAZENいけぶくろが企画する催しのたびに主催者挨拶をしていますが、毎回毎回、こういうとんでもない話題が新たに積み上がってくるんですね。しかし私たちは、すべての原発が地上からなくなるまで諦めるわけにはいきません。
今日は、これから亀屋さんのお話をたっぷりお聞かせいただいて、NAZENの今後の活動に生かしていきたい、そして一日も早い安倍政権の打倒、さらには原発の全廃に結び付けていきたいと思います。