5月29日、東京武蔵野病院裏の茂呂町会館にて、ふくしま共同診療所の杉井吉彦医師と語る会を行いました。チラシを見て来た地元町内の方々、動労千葉物販で知り合った出版労組の方、練馬のリサイクルショップ街のお客さん、ネットでみたという官邸前金曜抗議行動の参加者など、50 名近くの方が参加しました。
 3月に発足したNAZENいけぶくろの初めての企画で、準備段階から、会場作り、運営などみんなで試行錯誤してやりきりました。

140529yd-ni006_240x180.jpg

●病院当局の妨害と対決
 東京武蔵野病院法人は、当初予定していた職員食堂での開催に対して、「院外の医師が来るから」と断ってきました。精研労組(精神医学研究所付属東京武蔵野病院労組)は「これは労働組合活動への妨害であり、不当労働行為だ」と、職場闘争の大きな一環として位置づけ、最後まで粘り強く交渉し、病院職員にもこの問題を訴えました。その結果、組合に加盟していない職員も参加してくれました!
 病院法人は、当日にはなんと、駐車場入口に「当院の職員食堂では行われません」と張り紙まで出しました。
sugiikouennkai1.jpg

病院で福島の被ばくについて講演会を行うことの大きな社会的注目への激甚な対応であり、まさに福島と同じ「原子力ムラ」との闘いが職場にもあるということがはっきりしたと思います。

 杉井さんのお話は、「美味しんぼ」鼻血問題から始まり、「福島の真実」を生々しく伝えるものでした。杉井先生のお話を伺って、福島は本当にすさまじい状況になっているんだと再確認できました。関東もホットスポットは多く、低線量被ばくでも健康被害は人によって全部違います。私たちは、もっと多くの人たちにこの現実を伝え、共に生きぬいていく方法を確立させていかないといけないと思いました。
※ブログの一番最後に、杉井さんの講演要旨と動画を載せてます。

DSC_0131.jpg

 日常的に顔は合わせているけど深い話までいかない。気にはなっているけどそのままになっている。そんな人たちが沢山来て真剣に先生の話を聞いていました。
会場で診療所カンパも多く寄せられ、最初と最後にはNAZENいけぶくろ共同代表の精研労組委員長・諸永さんと百万人署名運動北部連絡会の五條さんが挨拶し、常磐線竜田延伸反対の5・31 いわき集会への参加も呼びかけられました。

●参加者がNAZENに入会!
 そして学習会に参加された地域の方がNAZENいけぶくろに入会してくれ、さらに診療所に7万円ものカンパをしてくださいました! 「皆さんが診療所をつくった時の感動を共有したかった」「鉄は熱いうちに打て!と思って持ってきました」。この思いを全ての人たちと共有していきたいです。
 精研労組は、3・11 直後から震災による通勤困難時の交通費補償などと同時に、病院内の線量を測ることを要求し続けてきました。これに法人は昨年に「測る」と回答しながら、今春には「測った結果、ゼロだった」と。まったくゼロなんてありえるでしょうか!? こうした法人の不誠実さを弾劾し、労資の対決のなかでふくしま共同診療所への支援カンパ運動を労働組合として積み上げてきました。

●職場闘争の力を実感
 私たちNAZENいけぶくろは、精研労組の取り組みを土台に、労働組合が地域の反原発の軸を担っていく決断として発足しました。その位置と意味の大きさを、今回の初講演会への職場・地域・労組のつながりからの参加という広がりによって大いに確認することができました。職場での闘いを基礎に、地域に根を張って活動していきたいと思います。

以下は、杉井さんの講演要旨と動画です。ゆっくりご覧ください。

*「美味しんぼ」鼻血問題
なぜ「たかが鼻血」にこれ程まで行政が大騒ぎし、これ程までマスメディアが注目し、更に官房長官まで出てくるのか。あのマンガは、本当に福島の状況を考えた内容だったし、全て実際に動いている方たちが出てきました。最終回は、本当に注目すべき内容だったと思います。実は、鼻血どころではない深刻な福島の健康問題が裏にある。その事をみんな敏感に感じているからなんです。安倍首相は「汚染水は完全にコントロールされている」と言う。そんなことはみんな「ウソだ」と知っている。だから『たかが鼻血』ごときでここまで大騒ぎになったわけです。

*3・11から3年たった現在の福島。
3・11から3年たった現在福島はどういう状況になっているのか。既にわかっている事態と、わかっていない事態とあります。現在、「恐怖のUFOキャッチャー」と言われてるフクイチ4号機。燃料棒がむき出しのまま置かれているこの恐怖感。再稼働させたいための絵に描いた餅です。
原発とは、地上に置かれた原爆です。汚染水は垂れ流し。国際基準は年間1ミリシーベルトなのに、「20ミリで安全なんだ」ととんでもないことを言っている。本当は、1ミリシーベルト以下だって安全じゃない。
子どもの甲状腺がんが確定が50人と発表されている。にもかかわらず福島県立医大は「甲状腺がんは予後が良い」「不安を助長するな」「過剰診療にならないように」などと言っている。「診療すればあんたたちには助成金出さないよ」と。診察したくてもできない。多くの病院にはこういう状況を強いられている。こういなかで、保険診療を実現したふくしま共同診療所には、多くの医師が注目しています。

*高線量の地域に住民を戻す!?
今年の8月に、福島県立医大の子どもの甲状腺検査の二度目の結果が出ます。増える結果は出ないでほしい。本当にこれ以上は悲しすぎます。だけど出たら本当に国家側の見解は破綻します。甲状腺ガンは氷山の一角で、免疫低下など、健康被害はいっぱいあります。これからも続く現実を見てください。
そして今、高線量の地域に住民を戻して、何もなかったことにしようという本当に許しがたい国家ぐるみの政策があります。戻れば助成金。戻らねば一切なし。再除染にカネはかけない。だからまたどんどん線量は増える。福島の人たちは、こんなところには住みたくないというのが本当のところです。だけれども、「健康被害はない」と言い続け帰還させようとする。立ち入り禁止区域に鉄道を走らせようとする。再稼働させたいから。許されないことです。

*ふくしま共同診療所への支援を
ふくしま共同診療所の原則は、避難・保養そして医療。本当に必要なことです。どんなに医療ががんばっても、根本的にはやっぱり避難が必要なんです。診療所がつぶれても健康が守れればいいんです。
診療所にはたくさんカンパが来ますが、経営としては厳しい。ご支援をお願いします。