安倍の9条改憲案批判の学習会やろう! レジュメダウンロードできます

kaikenhanntaiteikishiryou20180817_ページ_01
PDFファイルのダウンロード

8月17日の改憲・戦争阻止!大行進東京北部実行委員会結成集会で、とめよう戦争への道!百万人署名運動東京北部連絡会の五條敦代表が提起したレジュメをダウンロードできるようにしました。

自民党総裁選を前に、安倍の9条改憲案をしっかり検討してみましょう。
「自衛隊明記」と「緊急事態」新設がいかにキケンかわかります!
職場で、地域で、友人どうしで! 津々浦々で学習会を広げていきましょう!


発議を許すな! 自民党改憲案の核心と安倍の改憲プラン


1.自民党改憲案の核心
① 9 条の 2:自衛隊の明記=9 条の無効化

【日本国憲法】
第 9 条 日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。
② 前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。

【自民党改憲案・条文イメージ(たたき台素案):2018 年 3 月 24 日】
第 9 条の 2 前条の規定は、我が国の平和と独立を守り、国及び国民の安全を保つために必要な自衛の措置をとることを妨げず、そのための実力組織として、法律の定めるところにより、内閣の首長たる内閣総理大臣を最高の指揮監督者とする自衛隊を保持する。
② 自衛隊の行動は、法律の定めるところにより、国会の承認その他の統制に服する。
(※ 第 9 条全体を維持した上で、その次に追加)

(1) 「前条の規定は、……を妨げず」との文言で、9 条に規定されている戦争放棄、戦力の不保持、交戦権の否認が無効化される。
(2) 「必要な自衛の措置」に限定がなく、「自衛の措置」には「集団的自衛権」を含むことから、自衛隊の活動が際限なく拡大する。
(3) 「国民の安全を保つため」として、在外法人保護・救出を名目とした自衛隊の海外派兵が正当化される。
(4) 「自民党憲法改正草案(2012 年 4 月 27 日)」と比較すると一見穏当な内容に見えるが、事実上、その核心部分がほぼそのまま取り込まれている。⇒ 「国防軍」という名称が採用されずに「自衛隊」のままとなり、「審判所」(=軍法会議)の規定を欠いているだけ。

【自民党憲法改正草案:2012 年 4 月 27 日】
第 9 条 日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動としての戦争を放棄し、武力による威嚇及び武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては用いない。
② 前項の規定は、自衛権の発動を妨げるものではない。
第 9 条の 2 我が国の平和と独立並びに国及び国民の安全を確保するため、内閣総理大臣を最高指揮官とする国防軍を保持する。
② 国防軍は、前項の規定による任務を遂行する際は、法律の定めるところにより、国会の承認その他の統制に服する。
③ 国防軍は、第一項に規定する任務を遂行するための活動のほか、法律の定めるところにより、国際社会の平和と安全を確保するために国際的に協調して行われる活動及び公の秩序を維持し、又は国民の生命若しくは自由を守るための活動を行うことができる。
④ 前 2 項に定めるもののほか、国防軍の組織、統制及び機密の保持に関する事項は、法律で定める。
⑤ 国防軍に属する軍人その他の公務員がその職務の実施に伴う罪又は国防軍の機密に関する罪を犯した場合の裁判を行うため、法律の定めるところにより、国防軍に審判所を置く。この場合においては、被告人が裁判所へ上訴する権利は、保障されなければならない。
第 9 条の 3 国は、主権と独立を守るため、国民と協力して、領土、領海及び領空を保全し、その資源を確保しなければならない。

② 73 条の 2、64 条の 2:緊急事態条項の新設
【自民党改憲案・条文イメージ(たたき台素案):2018 年 3 月 24 日】
第 73 条の 2 大地震その他の異常かつ大規模な災害により、国会による法律の制定を待ついとまがないと認める特別の事情があるときは、内閣は、法律で定めるところにより、国民の生命、身体及び財産を保護するため、政令を制定することができる。
② 内閣は、前項の政令を制定したときは、法律で定めるところにより、速やかに国会の承認を求めなければならない。
(※内閣の事務を定める第 73 条の次に追加)
第 64 条の 2 大地震その他の異常かつ大規模な災害により、衆議院議員の総選挙又は参議院議員の通常選挙の適正な実施が困難であると認めるときは、国会は、法律で定めるところにより、各議院の出席議員の 3 分の 2 以上の多数で、その任期の特例を定めるこ
とができる。(※国会の章の末尾に特例規定として追加) 

(1) 「災害」 にだまされるな!
「災害」とは、法律上、「自然災害」だけを意味するものではない。
たとえば、「災害対策基本法」では、「大規模な爆発」や「放射性物質の大量の放出」が「災害」に含まれており、それらの原因がテロや戦争であっても「災害」と見なされうる。
また、「国民保護法(武力攻撃事態等における国民の保護のための措置に関する法律)」では、「武力攻撃により直接又は間接に生ずる人の死亡又は負傷、火事、爆発、放射性物質の放出その他の人的又は物的災害」を「武力攻撃災害」としている。
自民党改憲案で「自然災害」ではなく「災害」という用語が使われているのは、「自民党憲法改正草案(2012 年 4 月 27 日)」(次ページ)で掲げられた「外部からの武力攻撃、内乱等による社会秩序の混乱」を含む有事全般を対象とするためであると考えられ、きわめて狡猾なやり口であると言うほかない。

【災害対策基本法】
第 2 条 この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。
1 災害 暴風、竜巻、豪雨、豪雪、洪水、崖崩れ、土石流、高潮、地震、津波、噴火、地滑りその他の異常な自然現象又は大規模な火事若しくは爆発その他その及ぼす被害の程度においてこれらに類する政令で定める原因により生ずる被害をいう。(後略)
【災害対策基本法施行令】
第 1 条 災害対策基本法(以下「法」という。)第 2 条第 1 号の政令で定める原因は、放射性物質の大量の放出、多数の者の遭難を伴う船舶の沈没その他の大規模な事故とする。
【武力攻撃事態等における国民の保護のための措置に関する法律】
第 2 条 (前略)
④ この法律において「武力攻撃災害」とは、武力攻撃により直接又は間接に生ずる人の死亡又は負傷、火事、爆発、放射性物質の放出その他の人的又は物的災害をいう。

(2) 「政令」 に制限なし
「73 条の 2」は、内閣が法律と同一の効力を持つ「政令」を制定できるようにしようとするものである。
この規定は、国民が直接選挙した議員で構成される国会だけが法律を制定できるという仕組を破壊し、三権分立の意味を失わせる。
「内閣」を「天皇」に、「国会」を「帝国議会」に、「政令」を「勅令」に読み替えれば、「大日本帝国憲法」第 8 条の「緊急勅令」の規定と瓜二つの内容だが、「帝国議会」が「承諾」しないときは「効力ヲ失フコトヲ公布スヘシ」と明記されている「大日本帝国憲法」の方がまだマシかもしれない。

【大日本帝国憲法】
第 8 条 天皇ハ公共ノ安全ヲ保持シ又ハ其ノ災厄ヲ避クル為緊急ノ必要ニ由リ帝国議会閉会ノ場合ニ於テ法律ニ代ルヘキ勅令ヲ発ス
② 此ノ勅令ハ次ノ会期ニ於テ帝国議会ニ提出スヘシ若議会ニ於テ承諾セサルトキハ政府ハ将来ニ向テ其ノ効力ヲ失フコトヲ公布スヘシ

戦前のドイツや日本で憲法の国家緊急権条項が濫用されたことを顧みれば、「73 条の 2」の危険性は明らかである。
とくに「政令」の対象に限定がないことは決定的な不備であり、令状なしの逮捕も、集会・デモやストライキの禁止も、都合の悪い文書の破棄も、そして新しい罪をでっち上げることさえも可能になってしまうことになる。
また、「政令」の制定、国会の承認の手続が明確でないことも重大な欠陥であり、曲がりなりにも閣議による「緊急事態の宣言」やそれを継続する場合の「100 日を超えるごと」の「国会の承認」等が規定されていた「自民党憲法改正草案」よりひどい内容となっている。

【自民党憲法改正草案:2012 年 4 月 27 日】
第 98 条 内閣総理大臣は、我が国に対する外部からの武力攻撃、内乱等による社会秩序の混乱、地震等による大規模な自然災害その他の法律で定める緊急事態において、特に必要があると認めるときは、法律の定めるところにより、閣議にかけて、緊急事態の宣
言を発することができる。
② 緊急事態の宣言は、法律の定めるところにより、事前又は事後に国会の承認を得なければならない。
③ 内閣総理大臣は、前項の場合において不承認の議決があったとき、国会が緊急事態の宣言を解除すべき旨を議決したとき、又は事態の推移により当該宣言を継続する必要がないと認めるときは、法律の定めるところにより、閣議にかけて、当該宣言を速やかに解除しなければならない。また、100 日を超えて緊急事態の宣言を継続しようとするときは、100 日を超えるごとに、事前に国会の承認を得なければならない。
④ 第 2 項及び前項後段の国会の承認については、第 60 条第 2 項の規定を準用する。この場合において、同項中「30 日以内」とあるのは、「5 日以内」と読み替えるものとする。
第 99 条 緊急事態の宣言が発せられたときは、法律の定めるところにより、内閣は法律と同一の効力を有する政令を制定することができるほか、内閣総理大臣は財政上必要な支出その他の処分を行い、地方自治体の長に対して必要な指示をすることができる。
② 前項の政令の制定及び処分については、法律の定めるところにより、事後に国会の承認を得なければならない。

③ 緊急事態の宣言が発せられた場合には、何人も、法律の定めるところにより、当該宣言に係る事態において国民の生命、身体及び財産を守るために行われる措置に関して発せられる国その他公の機関の指示に従わなければならない。この場合においても、第 14条、第 18 条、第 19 条、第 21 条その他の基本的人権に関する規定は、最大限に尊重されなければならない。
④ 緊急事態の宣言が発せられた場合においては、法律の定めるところにより、その宣言が効力を有する期間、衆議院は解散されないものとし、両議院の議員の任期及びその選挙期日の特例を設けることができる。

③ 改憲を許せば? 「戦争できる日本」の完成
(1) 軍事中心の社会に変わる
この点について、石川裕一郎氏(聖学院大学教授、憲法)は、「とめよう戦争への道!百万人署名運動全国通信」第 246 号(2018 年 5 月 1 日)に掲載されたインタビュー記事「自民党〈自衛隊明記案〉を批判する」で、以下のように指摘している。

9 条に自衛隊を書き込むことの重大性は、自衛隊が対外的に戦闘するかしないかの問題だけではありません。
安倍政権は特定秘密保護法や共謀罪を安保法制とセットで成立させてきましたが、自衛隊を憲法で認めてしまうと、軍事にかかわることが社会の基底に置かれ、今の憲法下での日本の政治体制や市民社会のルールが変わっていく可能性があるのです。
まず、日本国憲法は、基本的人権の保障について、12 条で「公共の福祉のために」、13条で「公共の福祉に反しない限り」、29 条で「公共の福祉に適合するやうに」という限定を付けています。
これは他者の人権との衝突を調整する原理、および福祉国家の理念に基づいて経済的強者の権利を制限する原理として置かれているわけですが、自衛隊(軍)が憲法に坐ると、公共の福祉の中に軍事的な配慮が入ってきて、それで国民の基本的人権を制限するということが堂々とできるようになります。戦前はまさにそうでした。
侵略戦争に突き進む過程は「軍事的なるもの」を頂点にして、市民社会がそれに従属させられたわけですよね。学校教育体制も、産業も産業報国会として、家庭の男尊女卑的な家父長制もまさに軍事国家に尽くすための仕組みになった。徴兵制や物資等の徴発もそうです。
憲法学者の山内敏弘さんは、自衛隊を 9 条に明記すれば、自衛隊は憲法上の公共性を持ち、自衛隊の役務も兵役も「公共の福祉」に反しないことになると言っていますが、わたしもそう思います。
有事法制が作られたとき、地方公共団体とか、医療、交通、建設、運輸などの諸機関は労働者ごと有事=戦争の際の協力を強制される。国民保護法はそのためのものだと私たちは主張しましたが、それ以上の強権的な体制になるでしょう。
さらに、現行憲法では軍事裁判所(特別裁判所)は置いていないのですが、自衛隊が憲法に明記されれば、最高裁への上訴が可能であれば下級審に軍事裁判所が設けられる余地が出てくるということです。
抽象的な言い方をすると、軍隊には市民社会と別のルールがあって、例えば、命をかけて任務を遂行する、敵前逃亡してはいけないとかは普通の行政機関だったらありえませんが、堂々と軍隊になれば、海外に行くのは嫌だから辞めるってことも簡単にはできなくなったり、罰せられるようになるでしょう。

(2) 社会の軍事化はすでに始まり、ますます加速化している
上記のインタビューで石川氏も指摘しているように、社会の軍事化を支える仕組づくりは、有事法制(2003 年)をひとつの画期として、特定秘密保護法(13 年)、安保法制=戦争法制(15 年)、共謀罪(17 年)と、着々と進められてきた。国旗国歌法(1999 年)や教育基本法改悪(2006 年)もその一環として捉えられよう。いま、その総仕上げとして明文改憲が狙われている。
そして近年、「一強」と称される安倍政権下で目に余るのが、防衛費=軍事費の膨張と自衛隊の増長である。最近の報道から、それらを象徴する出来事を 1 つずつ挙げておきたい。

◆ 中国念頭に“空母”導入検討を首相に提言 自民(6/1:NHK NEWS WEB)
防衛力整備の指針となる「防衛計画の大綱」の見直しに向け、自民党は、海洋進出を強める中国を念頭に、空母の役割を担う「多用途運用母艦」の導入を検討するよう求める提言を、安倍総理大臣に手渡しました。
自民党の安全保障調査会と国防部会がまとめた今回の提言では、中国が海洋進出を強め、南西諸島から台湾にかけてを「第 1 列島線」と呼んでいることを念頭に「列島線防衛」を掲げ、空母の役割を担う「多用途運用母艦」の導入を検討するとしています。
さらに、多用途運用母艦にも搭載できる短距離の滑走で離陸可能な最新鋭戦闘機、F35Bを取得することや、NATO=北大西洋条約機構が GDP=国内総生産の 2%の防衛費を目標としていることも参考に、十分な防衛予算を確保することを求めています。
提言を受け取った安倍総理大臣は、「安全保障環境が大きく変わり、装備の技術も革命的に変化している。国民の命と領土・領海・領空を守っていくため、大綱の見直しに向けて、しっかりと検討の参考にしたい」と述べました。
このあと自民党の中谷安全保障調査会長は記者団に対し、「『列島線防衛』を掲げ、日本列島をしっかりと防衛できる体制を作るための提言だ。日米協力や防衛省の体制強化、それに予算の獲得が必要だ」と述べました。

◆ 「お前は国民の敵だ」現職自衛官が民進・小西氏に暴言か(4/17:朝日新聞デジタル)
民進党の小西洋之参院議員が 17 日、現職自衛官を名乗る男性から「お前は国民の敵だ」と繰り返しののしられたと、参院外交防衛委員会で明らかにした。防衛省は、統合幕僚監部に勤務する自衛官である可能性があるとみて調査している。(後略)
◆ (社説)自衛官の暴言 訓戒処分では軽すぎる(5/11:朝日新聞デジタル)
幹部自衛官が、国民の代表である国会議員を罵倒する異常事態に対して、この処分は軽すぎる。防衛省は問題の深刻さを見誤っていないか。
統合幕僚監部に勤務する 30 代の 3 等空佐が、当時民進党だった小西洋之参院議員(無所属)に暴言を吐いた問題で、防衛省は 3 佐への懲戒処分を見送り、訓戒にとどめた。
懲戒処分は自衛隊法に基づき免職、降任、停職、減給、戒告の 5 段階。懲戒に至らない軽微な規律違反には、内規に基づく訓戒、注意が適用される。最も軽いのが、業務上の指導としての口頭注意だ。
訓戒は下から 3 番目に軽い処分でしかない。たとえば 16 年 1 月の参院予算委員会に、防衛省幹部 3 人が大雪で遅刻した時の処分も訓戒だった。3 佐の言動は、政治が軍事に優越するシビリアンコントロール(文民統制)の原則を明らかに逸脱している。それを遅刻と同程度の処分とはいかがなものか。甘い処分は統制を形骸化させ、将来に禍根を残す。
首をかしげるのは、処分の理由が自衛隊法 58 条の「品位を保つ義務」違反とされ、61条に定めた「政治的行為の制限」違反を認めなかったことだ。
防衛省の聴取に、3 佐は「国民の敵」とは言っていないと主張したが、「あなたがやっていることは日本の国益を損なう」「馬鹿」「気持ち悪い」などの発言は認めた。安全保障関連法に強く反対した小西氏について「政府・自衛隊とは違う方向での対応が多い」と認識していたという。これが「政治的行為」でないというのは、ふつうの感覚では理解に苦しむ。
そのうえで防衛省は、3 佐がジョギング中に小西氏と遭遇した際の「偶発的」「私的」な発言で「文民統制を否定するものではない」と位置づけた。
だが、3 佐は相手が国会議員と承知のうえで、自衛官と名乗り、その政治姿勢を公然と批判した。これを偶発的で私的な発言とみなすのは、事態の矮小化そのものだ。河野克俊・統合幕僚長が発覚後の会見で「文民統制に疑義が生じている」と語ったのは何だったのか。戦前、軍部が暴走した反省から、自衛隊には憲法や法律に基づく制約が課されてきた。ところが安倍政権は、その憲法や国会を軽んじ、批判的な野党を敵視する姿勢が目立つ。政治が生み出す空気が甘い処分の背景にあるとすれば、危うい。自衛隊への信頼の根幹を支える文民統制と政治的中立を、有名無実化させてはならない。

2.要警戒! 安倍の改憲プラン
① 改憲の手続はどうなっているか?
「憲法改正原案」(国会法上の用語)の国会への提出には、憲法審査会による提出と議員発議による発議の 2 つのルートがある。

出典:衆議院憲法審査会事務局「衆議院憲法審査会 関係資料集(平成 30 年版)」

【国会法】
第 68 条の 2 議員が日本国憲法の改正案(以下「憲法改正案」という。)の原案(以下「憲法改正原案」という。)を発議するには、第 56 条第 1 項の規定にかかわらず、衆議院においては議員 100 人以上、参議院においては議員 50 人以上の賛成を要する。
第 102 条の 7 憲法審査会は、憲法改正原案及び日本国憲法に係る改正の発議又は国民投票に関する法律案を提出することができる。(後略)

② 楽観は禁物! 何でもありの安倍政治
昨年 5 月 3 日、安倍首相は改憲派の集会に寄せたビデオメッセージで、「9 条 1 項、2 項を残しつつ、自衛隊を明文で書き込むという考え方、これは国民的な議論に値するのだろうと思います」、「2020 年を新しい憲法が施行される年にしたいと強く願っています」などと述べ、改憲への強い意欲を示した。
ただし、その後の憲法審査会の経過を見ると、昨年の通常国会では衆議院で安倍改憲メッセージの前に決まっていたスケジュールをこなしただけに終わり、冒頭解散が行われた臨時国会ではもちろん開催されず、総選挙後に招集された特別国会と今年の通常国会で実質的な審議が行われたのは参議院でのそれぞれ 1 回(昨年 12 月 6 日、今年 2 月 21 日)のみで、改憲案の議論は全くと言ってよいほど進展しなかった。
2020 年に確実に新憲法が施行されるためには、19 年 7 月の参議院通常選挙の前、あるいはそれと同時に国民投票が行われる必要があり、発議のタイムリミットは遅くともその 60 日前となることから、上記のような憲法審査会の状況、そして予算審議や統一地方選、天皇の代替わり等の政治日程から見て、安倍改憲プランの実現は不可能になったと見る向きもある。
しかしながら、憲法審査会でなく、議員の発議によっても「憲法改正原案」の提出は可能なのであり、改憲勢力にとって衆議院議員100 人以上、参議院議員 50 人以上というハードルはなきに等しいものである。
ここ数日の安倍や側近の下記のような発言は、そのことを前提にしているものと考えられる。

◆ 首相、改憲案「次の国会に提出を」 総裁選争点化に期待(8/12:朝日新聞デジタル)
安倍晋三首相は 12 日、地元・山口県下関市で講演し、自民党の憲法改正案について「次の国会に提出できるようとりまとめを加速すべきだ」と語った。「総裁選が、党員の間で議論を深め、一致団結して前に進むきっかけとなることを期待する」と述べ、総裁選で改
憲を争点にする姿勢を示した。
首相は自衛隊の明記や教育無償化など党の改憲 4 項目を挙げ、「いつまでも議論だけを続けるわけにはいかない」と主張。憲法 9 条への自衛隊の明記について、「全ての自衛官が誇りを持って任務を全うできる環境を整えることは、政治家の責任。自衛隊をしっかり
と明記することで私はその責任を果たしていく決意だ」と意欲を示した。(太田成美)

◆ 「3 選の勢いで改憲へ」 自民・下村氏(8/16:朝日新聞デジタル)
自民党の下村博文・元文部科学相は 15 日、日本会議などが東京・九段の靖国神社で開いた集会で、9 月の党総裁選について「安倍晋三(首相の)3 選に向けた圧倒的な流れをつくり、その勢いで(今秋の)臨時国会で具体的な憲法改正論議に入っていかねばならない」と語った。自衛隊明記などを盛り込んだ党改憲案の「次の国会」への提出をめざす首相を後押しした。集会は「戦没者追悼中央国民集会」。衛藤晟一首相補佐官や佐藤正久外務副大臣らも出席した。

何しろ「何でもあり」の安倍政権のことである。やると決めたからには数の力で押し通す、(いまや絶滅危惧種だが)自民党内の良識派も公明党もいつも腰砕け、そんな光景を何度見せつけられてきたことだろうか。その最たるものが安保法制=戦争法の強行だった(思い返して怒りを新たにしよう!)。

安保法制=戦争法強行の経緯
○ 2013 年 2 月 7 日:安保法制懇(安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会)を設置
首相の私的諮問機関を公的機関であるかのように偽装、首相に近い「有識者」を集めた
○ 8 月 8 日:それまでの人事の慣行を無視して、集団的自衛権行使を可能とする憲法解釈の変更に積極的とされていた小松一郎駐仏大使を内閣法制局長官に任命
○ 2014 年 5 月 15 日:安保法制懇、憲法下での集団的自衛権行使を認める報告書を提出
○ 7 月 1 日:長年の政府憲法解釈を変更する閣議決定
○ 2015 年 4 月 27 日:安保法制を先取りする内容を含む日米防衛協力のための指針(ガイドライン)を、法案の国会提出前に改定
○ 5 月 15 日:安保法制 2 法案を国会に提出、25 日衆議院で審議入り
○ 6 月 4 日:衆議院憲法審査会で参考人 3 人全員が安保法制は違憲であると表明、以後法曹界の重鎮(憲法学者、元最高裁長官・判事、元内閣法制局長官)から違憲との指摘が相次ぐ
○ 6 月 22 日:国会会期の 95 日間延長を決定、通常国会としては戦後最長の会期に
○ 9 月 19 日:未明に参院本会議で可決、成立
○ 10 月:参院特別委の議事録改ざんが判明(参院事務局が成立直後に作成した未定稿の議事録では「速記中止」「議場騒然、聴取不能」と記されていたが、「速記を開始」「可決すべきものと決定した」などの文言が加わっていた)
○ 10 月 21 日:野党が連名で憲法 53 条に基づく臨時国会の召集を要求、政府はこれを無視

改憲は安倍の悲願であり、今回、私たちは安倍が安保法制=戦争法強行時を上回るような強権を発動してごり押ししてくることを覚悟して立ち向かっていかなければならない。

③ もし発議されたら? 国民投票運動で圧倒的な優位に立つ改憲派
さて、もし私たちの抵抗もむなしく改憲が発議されたら国民投票の結果はどうなるだろうか?
そのヒントになりそうないくつかの世論調査結果を見ると……
◆ 憲法に関する世論調査結果 共同通信(4/26:中日新聞)
問 6 あなたは「戦争放棄」や「戦力の不保持」を定めた憲法 9 条を改正する必要がある
と思いますか、改正する必要はないと思いますか。
・改正する必要がある 44 ・改正する必要はない 46 ・無回答 10
問 8 (問 6 で「改正する必要がある」と答えた人に聞く)9 条を改正する場合、あなたが
最も重視すべきだと思うことは何ですか。(回答者 851 人)
・現在の自衛隊の存在を明記する 47 ・自衛隊を軍として明記する 14
・自衛隊による国際貢献を行う規定を設ける 12
・自衛隊の海外での活動が際限なく拡大しないよう歯止めの規定を設ける 24
・その他 2 ・無回答 1
問 12 憲法改正の議論では、大規模な自然災害や外部からの武力攻撃などの緊急事態に
対応するため、内閣の権限を強め、移動の自由など個人の権利を制限できる条項を新設
する案があります。あなたは賛成ですか、反対ですか。
・賛成 42 ・反対 56 ・無回答 2
問 13 緊急事態の場合に、衆院や参院の選挙が実施できず、立法府が機能しなくなる恐れ
があるとして、憲法上に「衆院 4 年」「参院 6 年」と明記されている国会議員の任期を
延長できるようにする案が検討されています。あなたは賛成ですか、反対ですか。
・賛成 32 ・反対 66 ・無回答 2
問 22 安倍首相は憲法改正に強い意欲を示しています。あなたは安倍首相の下での憲法
改正に賛成ですか、反対ですか。
・賛成 38 ・反対 61 ・無回答 1
問 23 安倍首相は、2020 年の改正憲法の施行を目指すとしています。自民党は憲法改正
の国会発議を今年中に行い、国民投票を経て 20 年の改正憲法の施行を目指しています。
このスケジュールに賛成ですか、反対ですか。
・賛成 36 ・反対 62 ・無回答 2
調査の方法:層化 2 段無作為抽出法により、1 億人余の有権者の縮図となるように全国 250
地点から 18 歳以上の男女 3 千人を調査対象者に選び、郵送法で実施した。
3 月 7 日に調査票を発送し、4 月 13 日までに届いた返送総数は 2040。有効回答は 1922。
回収率は 64.1%で、回答者の内訳は男性 49.0%、女性 51.0%。
東日本大震災の被災地のうちの 3 県に加えて、熊本県について一部地域を調査対象か
ら除いた。
◆ 報道 STATION・
ANN 世論調査
◆ 毎日新聞世論調査
(5/3:毎日新聞)

今のところ緊急事態条項については改憲反対が多数となっている(サンプルが「共同通信」だけなので確たることは言えない)が、9 条については賛否が拮抗している。
現在の国民投票法には広告の規制がほとんどないという重大な欠陥があり、世論調査に回答しない、あるいは「わからない」と回答する人々の多くは、資金力で圧倒する改憲賛成派が洪水のように流す TV-CM に影響されて「賛成」に回る可能性が高いのではないか。
楽観は許されない。発議を許したら一巻の終わりだというくらいの覚悟で闘うことが必要だと思う。

改憲・戦争阻止!大行進実行委員会(本部)ブログ立ち上げ! 署名用紙とチラシダウンロードできます

ついに、改憲・戦争阻止!大行進実行委員会(本部)ブログが立ち上がりました!

1a124f4b
http://stop-kaiken.blog.jp/

以下、大行進実行委員会ブログより、署名用紙とチラシのダウンロード案内です。


「憲法への『自衛隊』明記と『緊急事態』新設に反対します」という署名運動に取り組みます。
その署名用紙をアップしました。取り組みの各団体は、「取扱団体」に団体名や連絡先(署名送り先)を刷り込んで使用してください

syomeiyoushi
署名用紙PDFファイルのダウンロード

衆議院憲法審査会会長様 参議院憲法審査会会長様
衆議院議長様 参議院議長様

戦争するな!9条変えるな!
憲法への「自衛隊」明記と
「緊急事態」新設に反対します

●憲法に「自衛隊」を明記すれば、「戦争放棄」「戦力不保持」の第9条を実質的に破棄し、無制限に戦争ができることになります。
●戦争は「自衛のため」と言って行われてきました。「必要な自衛の措置」がとれるとなれば、侵略戦争への道が開かれてしまいます。
●憲法に「緊急事態」を新設すれば、首相の宣言で「憲法停止」も可能になり、あらゆる権利が奪われます。戦争のための独裁体制を許すものです。
●「9条改憲」と「緊急事態」新設によって、徴兵も当然という軍事優先の社会に変わってしまいます。私たちは、そのような改憲案の国会発議に反対します。

《よびかけ・署名集約先》 とめよう戦争への道!百万人署名運動
〒101-0061千代田区神田三崎町2-20-7-303
TEL.FAX.0352115415 http://millions.blog.jp/
《よびかけ》 改憲・戦争阻止!大行進実行委員会
〒260-0017千葉市中央区要町2-8 動労千葉気付
TEL.0432227207 kaikensoshi2018@yahoo.co.jp
〒111-0041台東区元浅草2-4-10 五宝堂ビル5F 全国労働組合交流センター気付



「自民党の改憲案提出を許すな!」ビラを作成しました。

20180826bira
201808262bira2
PDFファイルのダウンロード

関西生コン支部武建一委員長の即時釈放を!

IMG_20180826_133417
改憲・戦争阻止!大行進実行委員会/11月労働者集会実行委員会で関西生コン支部への弾圧について報告する西山直洋執行委員(8月26日)

8月28日、全日本建設運輸連帯労働組合関西地区生コン支部の武建一執行委員長をはじめ執行部3人が、恐喝未遂容疑をでっち上げられ、滋賀県警組織犯罪対策課によって逮捕されました。
関生支部は、関西の地で生コン業界でのストライキを闘う労働組合であり、動労千葉・港合同とともに11月全国労働者集会を呼びかけるとともに、「改憲・戦争阻止!大行進」の呼びかけ団体となっています。
この弾圧は、安倍の改憲攻撃と一体の治安弾圧です。絶対に許さず、武委員長をはじめとした逮捕者の即時奪還をかちとりましょう!

関西生コンの闘いと弾圧については、この動画をご覧ください。安倍政権と在特会が一体となって闘う労働組合潰しに奔走している状況がよくわかります。


以下、群馬合同労組ブログからの転載です。

全日本建設運輸連帯労働組合関西地区生コン支部・武建一執行委員長が2018年8月28日不当逮捕されました。武委員長がなぜ逮捕されたのか、雑誌『序局』第18号(2018年5月号)に武委員長のインタビュー記事が掲載されています。現在とらわれの身ですが、ご本人に語っていただくのが、一番と思い、転載させていただきます。

81b60a54f756825aae76d5387d73dd2d-739x1024
世の中をひっくり返すいいチャンス

関生支部つぶしには負けない

全日本建設運輸連帯労組関西地区生コン支部武建一委員長に聞く

『序局』第18号より)

 

毎年の11月労働者集会で、動労千葉、全国金属機械港合同とともに主催3団体に名を連ねている全日本建設運輸連帯労組関西地区生コン支部。「関生」あるいは「連帯」という呼称で知られている。その関生支部を、1965年以来50年以上率いてこられた武建一委員長に、お話を伺った。中小企業の経営者も巻き込んで、大企業に対する階級的闘いを挑み、重要な時点ではストライキをもって闘い、国家権力の弾圧や、差別排外主義者を動員した資本の攻撃にも不屈に闘いぬいている関生の闘いの真実を大いに語っていただいた。なお、本誌は2011年11月発行の創刊号でも武委員長に登場していただいている(聞き手は本誌連載「獄中記」の十亀弘史編集委員)。「労働運動は今何をなすべきか」と題して縦横に語られている。(3月6日聞き手本誌・長尾悠)

 

-今日の闘いについていろいろお聞きしたいと思うのですが、その前に、今の世界と日本の情勢、安倍の改憲とか朝鮮の戦争の策動を含めてどう考えられるか、簡単にお話しいただきたいと思います。

 

アメリ力帝国主義の衰退

 

私の認識では、世界はアメリカ帝国主義の力が衰退していって、基本的に帝国主義同士の対立・矛盾が非常に先鋭化し激化しているという状況です。これは結果的に資本主義そのものが構造的に立ち行かなくなっているような時代状況じゃないか。その具体的な表れがトランプの誕生です。トランプにしてみたら、他の国のことなんか構っている余裕がなくなって、「アメリカファースト」ということを言いだしているわけで、この「アメリカファースト」は、また自らの国の民衆への収奪と搾取という方向に帰ってくるわけです。これは別にアメリカだけでなく、イギリスあるいはEU全体がアメリカとの関係で言えば、たぶん今度トランプが関税を課すということで、それに報復をするという動きなどに象徴されますように、それぞれが宿命的な、この社会の対立・矛盾が避けられないという状況がどんどん表に出てきている、そういう時代に立ち至っているのではないかという認識ですね。

ただ、社会主義勢力がこれまた崩壊したので、闘う側の主体が非常に後れているような現状ですが、日本ではあまり報道されないけど、少なくてもアメリカ国内においても、民衆の闘いは結構高まってきているし、あるいはヨーロッパにおいても、日本では右派が台頭しているという報道ばかりなんですけど、しかし労働者を申心とする闘いは根強く発展している。

特にアジアにおける朝鮮半島の問題ですね。私の感じでは、朝鮮民主主義人民共和国の政権を転覆するのがアメリカなり日本の思惑ですよね。もう30年近く、「やがて転覆するだろう」と、いろいろな圧力をかけてきたんですが、これはすべて不発に終わっているわけです。核ミサイル問題が最大の焦点と言われているんですが、結局、民族の自立権というのはそれぞれの国に応じてその国の民衆が決めることであって、その国の制度が一方の側から見て都合が悪いからそれをひっくり返す、外部勢力の侵略、攻撃によって変えようということ自体が民主主義を言いながら民主主義を自ら否定することだと思うんです。

アメリカにとって見たら、アメリカの国益から考えると、核を認めて、アメリカに届かない範囲のものにしてしまうということだって、考えざるをえなくなっている。ただ日本が「北から攻められる」ということをすごくあおっているものですから、日本の方がいろいろ安全保障と称して核ミサイルの放棄を強く求めてくると思うんですね。

ところが、このところ南北の朝鮮半島の人たちは、同じ民族同士の話し合いの中で解決すべきだという意見が韓国の申で非常に強く、また共和国もそういう方向に流れていますね。今日のニュースを見ても、ムン大統領の特使で行った人が、実質的な話をして帰ってくるような方向を見出すと思われるような行動をされているわけです。結局、アメリカが先ほど言ったようなことを選択するとなったら日本が経済的な支援をして、36年間の植民地支配に対して、反省、謝罪、償いをして、日朝国交回復という形で落ち着かせていくのが本当の平和の方向ですが、なかなかそうはならないと思います。

安倍総理の経済政策、社会政策は行き詰まっているものですから、結局は戦争政策という方向に持って行きますわね。「制裁と圧力」だけを強めていって、国民をうまくあおり立てて、戦争政策の方向にリードしようという動きではなかろうか。ところが共和国と韓国の側から見ると、それが戦前の帝国主義、軍国主義の復活だと映るわけですからね、日本は北と韓国との共通の敵という色彩が非常に強くなってきて、北、南の一種の統一戦線によって日本と闘うという共通項が拡大するのではないかと思います。

そういう意味では、安倍さんがやっているやり方は、天に向かって唾をしているようなものですから、闘う主体さえしっかりすれば、われわれにとってチャンス到来の時期ではないか。これは帝国主義どもが行き詰まってくると、民衆への搾取・収奪、他国への戦争は従来からやっている彼らの常套手段ですから、この路線は彼らにとってやめることができない。しかしそのことによって、他国の民衆の怒り、憎しみを買い、反撃の大きなうねりが出てくる、また、わが国においても、今のところは連合みたいな御用組合化されたものが数の上では多数ですけれども、しかし、田中委員長のところの動労千葉とか、われわれのところは、それほど力はないんですが、しかし敵からは、大変恐怖感で見られているわけですね。ですから、われわれに対する弾圧とか、あるいは動労千葉に対する弾圧、あるいは農地を権力の思うままにさせない成田の闘いとか、そういう闘う側に対する一方の弾圧と、一方のそれは新しい闘いを生んでしまうような、そういう力を敵が与えてくれている。そういう問題意識ですね。

-軍隊慰安婦問題なんかでも、日本政府は韓国に対してかなりひどいことを言って、韓国をも敵にするような言動がありますよね。

慰安婦問題では、慰安婦そのものがなかったかのような、そういうことを平気で言う人たち、ある程度インテリと言われている連中の中でも御用学者みたいのがいるでしょ。そしてまた今の安倍政権は、歴史を修正するという認識で政権を運営しているものですから、ヘイトスピーチなどの連中を増長させるんですね。

慰安婦の問題で、加害者である日本の側から、「もういいだろう、10億円払ったから」と言うんですが、韓国のムン大統領は、「加害者がそういうことを言うべきじゃない」とおっしゃっていますよね。

-そうですね。「最終的かつ不可逆的解決」というのを日本の側から言っているのはおかしいですね。

まったくの開き直りです。しかも、あの当時の大統領は、今懲役20年行くかどうか、めちゃくちゃな大統領ですからね。日本のやり方は、それ以外に新しい政権ができたら日本の言うとおりにならない。2015年12月に「日韓合意」を決めた時は、千歳一遇のチャンスというので強引に決めたんでしょうね。

 

安倍の本性丸出しの改憲攻撃

-安倍の改憲の動きと、それから今の「働き方改革」について、お考えをお聞かせください。

まず安倍の本質は、森友・加計問題にすごく分かりやすく出ていますね。自分の側を付度してくれる、自分の思い通りに政権を支えてくれている連中にはわれわれ国民の資産を勝手に提供するようなことをやって、それに証拠があるのにないと言ってみたり、法とか規律とかいうものを自分の都合のいいように解釈して政権を私物化しでいくのが、彼の本性丸出しですよね。これはもう一つは、国全体をきわめて深刻に後戻りできない方向にリードしようということです。従来からやっている特定秘密保護法の問題にしろ、共謀罪です。

今回、さらに憲法9条、公明党が飛びつきやすいと思って、「加憲」と称して3項を付けようとしています。ただ自民党の中では、「3項は2項と整合性がないから、はっきりともっと露骨に、戦争をできる軍隊にしよう」という意見もあるんですが、しかも安倍も、これだけでたらめな選挙制度によって大多数の議席を獲得したわけですが、このチャンスを逃したらうまくいかないだろうということで、2項を削除するかどうか関係なく、自衛隊を軍隊として公認できるようなその法律をがむしゃらにでも通す危険性が非常に強まっていると思います。

その背後の事情は、結局経済政策はうまくいかないわけですよね。アベノミクスの三つは、金融緩和とか財政出動はうまくいっていません。特に財政出動は限りなくわれわれの子どもや孫に付けを残すようなやり方で、地域の疲弊とか、中小企業、労働者への抑圧・搾取を基本にしながら、大企業に資産を移転するようなやり方ですから、株が上がったからと言って、国民の暮らしなんか一向に良くならないわけです。

 

労働法制改悪反対のゼネストが必要

 

そしてさらにそれに輪をかけたやり方が今度の労働法制度の改悪です。裁量労働というのは、労働者が裁量するような言い方をするんですが、あれは経営者にとって都合のいいように労働者を使うというものです。現に野村不動産で、裁量労働をやって自殺者が出ているわけですね。最近にわかに報道されるようになったんですが、一昨年9月に自殺者が出て、昨年12月には、労災として認定されたんです。認定されたのだから本来はもっと早く報道の方も、裁量労働の行き着くところはこういう悲惨な結果をつくるんだということを報道しとけば、目玉商品の一つである労働法制の一角が思うようにいかなかったと思うんです。しかもあれは、厚労省の方がでたらめな資料を出して、資料がないと言ってきたわけでしょ。それがだんだん暴露されてきた。その中で世論の方も高まってくると、最近ようやく報道されるようになって、裁量労働制度については、一応出さないという経過がある。

高度プロフェッショナルについては、1075万円以上の収入のある人は、残業代ゼロですね。経団連はすでにこう言っているんですよ。「年収400万円以上の人に残業代なんか出さんでいい」という感覚ですよ。1075万なんてもらっているサラリーマン、労働者はほとんどいないですから。高プロというのは何かよそ事みたいに思われているんですが。いったんあれが導入されると、残業しても全部タダ働き、しかも資本が残業強要できるような仕組みですからね。ああいうものは絶対に認めるわけにいかんわけですよ。

普通であれば連合がゼネストをやるべきですが、連合はまったく取り込まれておりますから、国会で追及しても、「いや、連合の会長の了解を得ている」と安倍が平気で答弁したりするわけですね。ですけど、この間内閣支持率が落ちた、不支持率が高まってきているということもあって、世論が非常に高まってきているので、労働法制の問題については野党がしっかりと頑張っていけば、今の財界と安倍政権がやっていることが必ずしも通るわけではない。また、通すわけにはいかないと思いますよね。

また、これがつまずいてくると、憲法改悪にも大きな影響を及ぼしてくると思うんですね。これは、基本的には、国民的な大運動、大衆行動ですね。動労千葉とわれわれの11月集会というのを毎年やっているんですが、このような闘う労働組合の決起、そしてそれに賛同する人たち、安倍のこのようなやり方に反対する人たちが大きく輪になって高まっていけば、戦争法もつぶすことは可能だということですね。それは沖縄の基地撤去闘争、新基地建設を辺野古に認めない闘いは、日米両国政府が思うようにいかない、両政権ののど元に刺さったとげのようなものになると思うんですね。やはりああいう闘いが必要です。労働運動の場合にも、少数だから大きく変えることはできないという敗北主義に陥るんじゃなくて、少数がまとまった闘いをすれば、必ず多数に転化するんです。

これは世界の、例えばキューバ革命はわずか16人ぐらいの仲間たちが中心になり、やがて独裁政権バチスタを倒して、すぐ近くにあるアメリカ帝国主義と対等に闘ってきて、依然としてキューバの自立権を確保して、健全化しているわけですからね。やはり少数ですよ。その政権がいい悪いにかかわらず、だいたい多数というのは既得権にしがみつくわけですよ。少数は、その既得権によって多数が犠牲になっているという現挺して闘う、そういう英雄主義というのか、自己犠牲をいとわず闘う人たちはいきなり多数にはならないんですよ。少数の者がその気になって闘っていけば、キューバの例のように、それが世の中を革命、変えていくということになるんだという確信が、今のところ少数であるわれわれに求められている。そういう階級的視点が大事じゃないかと思うんですけどね。

 

「韓国の闘いへの感動を実践に生かせ」

 

-韓国の民主労総がゼネストをやって、それが今度のろうそく革命につながっていったという経過を見たら希望が湧きますね。労働者の闘いが核になって全人民的な闘いを実現し、パククネを打倒しました。

韓国の場合、民主労総とわれわれは交流を続けているんですが、日本流のやり方をやってきたんですね。ですから、雇用関係についても、トラックの場合で言えば、個人持ち制にするわけです。要するに「事業主」にして労働者性をなくす。そうすると、荷主とか大手が君臨していて、大手からすると、「雇用関係ではないんだ」「だからお前らは自分で持っている事業主だから、個別に、お前ら自身の自己責任だ」「賃金が低いとか、労働条件が悪いとかは、自己責任だ」と、こうきたんですけどね。

しかし韓国の仲聞は、「違うんだ、重層的な支配構造の中で、一番生産に従事している側の方、この生産に従事している方がなかったら大企業は存立しない。だから、この個別分断政策に対して、それを組織し横のつながりを強め、連帯して、大手に雇用責任を求めて闘っていくという運動が建設、生コン、トラックという分野で未組織をずーっと組織していった。そしてしかも組織するだけではなくて、弾圧されても、差別されても徹底的に闘うんですね。時には焼身自殺という、日本の労働者からすると、それだけ勇気をもってやる人たちがいるというのは、「すごい、韓国の人たちは、言葉で言うだけでなく、行動で表すな」と。高い塔に上って行って、そこを占拠して闘う、ああいう人たちが、潜在的な民衆の力を引き出すんですな。そして民衆がまた、そういう仲間の犠牲を自分の血肉にして、それであきらめないですね、粘り強いですね。それは今の沖縄の仲間に共通しているんですが、韓国の仲間たちは、ものすごい。戦闘的に闘い、しかも国際連帯という旗を掲げて、動労千葉の仲間と共闘したり、11月集会に参加してみたり、そういう階級性が強いですね。

しかも、日本では共和国がいつ攻めるか分からないと慌てているんですが、韓国の闘う労働者は、同じ民族同士が対立して戦うんじゃなくて、共通項を見出そうという立場ですからね、労働者にとって国境はない、労働者階級は国境を越えて団結し闘わにゃいかんという国際主義的な観点が非常に強いですね。そこが韓国の労働者の強いところではないですかね。われわれ学ばなきゃならないところがいっぱいある。

われわれの仲間2人が1年半ほど留学に行ったんです。今でも韓国に代表団を派遣するんですが、行くたびに感動して帰るんですね。「感動して帰るだけではだめだ、その感動を実践に生かせ」(笑)と言うんですけどね。

 

労働組合主導で生コン価格を上げる

 

-その実践ということですけど、支部は4カ月半の大ストライキを闘われて、にもストライキをやられたわけですね。この闘いはどういう闘いだったのか、何を求めてどのように闘われたのか、ということをお話しいただけませんか。

2010年の4カ月半のストライキは、大阪駅前の開発の工事を完全にストップしたんです。この時の要求は、生コンクリート製品が安く買いたたかれて、生コン産業はもともと95%以上が中小企業なので、中小企業がそれによって立ち行かなくなって、賃金引き上げができにくい、あるいは雇用確保、労働条件の維持向上が困難になるということから、生コン価格の引き上げを目的にした4ヵ月半のストライキだったんです。これは、大手ゼネコンの大林とか大成とか清水とか鹿島、大手が価格の引き上げをOKした。売り価格が現実に1立米(立方メートル当たり)1万6800円ですから、当時の売り価格より5000円以上上がったんです。それで終結したんです。

ところが、当時セメントメーカーは、労働組合主導型で生コンの値段を上げていくと、労働組合の影響力が生コン関連のみならず、日本の中小企業が圧倒的多数(事業者数で言えば中小企業が99・7%)ですから、関生型運動が他の中小企業に一気に広がる、という危険性を感じているわけですね。それで今度は、「値上いいんだ」ということで、合意している内容を全部ひっくり返したんです。それで、そういうことに対して労働者は抗議します、それを口実にして、「威力業務妨害」と称して警察を導入し、われわれの仲間を20人近く逮捕したんです。今問題になっている宇部興産の関連会社の関西宇部という会社です。もともと宇部興産は90年代から不正をやっていたことを最近暴露された、とんでもない会社なんです。

集団的労使関係として、春闘で交渉する時は、労使関係のある所は全社が寄ってきて、歴史の古い新しいは関係なく、集団で交渉し、そこで集団で決めた労働協約に拘束されるというやり方をするんです。それをつぶすためにその関西宇部が弾圧を加え、一方セメントメーカーとしては、大阪兵庫生コン経営者会(生コン企業が結集する対労窓口、集団交渉の当事者)をつぶすために、セメントの直営工場12工場を経営者会から集団離脱させるわけです。経営者会をつぶして集団交渉をつぶすためにそれを実行したんです。ところが、われわれは集団交渉を成功させるために、近畿2府4県の申小企業に呼び掛けて、経営者会を守り、集団交渉を守るために、それでセメントメーカーの策動はその点では失敗したんですが、しかしいったん値上げしているのが、ゼロになったんです。4カ月間の成果を奴らはつぶしてしまったんです。その結果何が起きたかというと、また生コンの値段が下落したものですから、中小企業が倒産の危機に直面したんですね。

そこで2015年に、生コン産業として大阪の場合は成り立たないところまで追い込まれたんです。セメントメーカーは分断支配をやるわけです。大阪広域協組という協同組合があって、それに対抗する阪神地区生コンクリート協同組合があって、もう一つはレディーミクスという協同組合、三つ協同組合があった。それに、どこにも入らない員外社「アウト」と、四つのグループがあったんです。一番影響力のある大阪広域協組というのがセメントメーカーが主導権を持っているところで、後は中小企業です。われわれ労働組合は、その中小企業と、協力連携していたわけです。それでセメントメーカーの主導的なやり方を変えよう、という主張をしていたんです。

それが2015年-月になると、セメント主導のところも立ち行かなくなったものですから、今度は労働組合に「ぜひわれわれに協力してください」と言ってきた。「労働組合と協力して、業界の大同団結をする、労働組合との従来の約束についてもそれはちゃんと履行します」と。従来の約束の中の大きな問題は、「雇用福祉基金を1立米あたり100円出す」、これは80年に約束し、94年に約束しながら実行されていなかったんです。ところが2015年は「実行します」と言った。「値戻しした段階では従来の約束を実行します」と。100円と言っても、大阪府下でも530万立米ほど入れますから、100円で年間5億3000万円ほどになるんです。「だから協力してください」ということだったので、「そういうことであれば協力しましょう」ということを2015年1月から、三つの中の阪神協組、レディー協組(中小企業関係)のところとわれわれと一緒になって、もともとセメントメーカーの広域協組と合流させるわけです。もう一つ、アウトのところについても説得し、合流させる。そして大阪府下の生コン工場の99%を組織した。組織率がそれだけ高まってくると、ゼネコンという大手との取引が対等にできるようになりますね。大手商社、住友とかとも対等に取引できる。それで値戻しをし、値上げが2016年からレ年にかけて成功するんです。売り価格が1万5800円、標準価格がそれですから、実質上は1万7000円くらいまで値が上がるんです。

 

輸送運賃も上げなければ

 

これは中小企業主導型の闘いとして非常に良かったなと考えていたんですが、振り返ってみると、製造業は良くなったんですが、そこに出入りしているダンプとか、コンクリートミキサー、バラセメントを輸送する会社の運賃は全く上がっていないんですよ。「製造業だけがそういうことをするのはおかしいんちゃうか、やっぱり出入りしている中小企業も等しく良くなる必要があるんじゃないか」。だいたい労働者が多く働いているところは製造業よりも輸送業のところです。ですから輸送運賃が上がらないということは、輸送労働者の賃上げも難しくなるわけですよね。要するに個別の会社に要求するだけではなくて、なぜ賃上げができないかという原因をたどっていくと、今の韓国の仲間が闘っているように、親会社、荷主、力を持っているところから財源をとってこなければ、中小企業だけ突いたんでは成果は得られないわけですね。

そういうこともあって、われわれは昨年の12月12日から5日間、具体的な、例えばミキサーで言えば、大型車1日あたり4万円いってなかったんです。これを5万5000円にしなさい、バラ輸送の場合は、トン当たり510円値上げしなさい、これを要求してストライキに入ったんです。ストライキに入ったら、滋賀と京都と奈良と和歌山、大阪でも大阪兵庫生コン経営者会の加盟社は、「分かりました。来年(18年)4月から値上げしましょう」と合意したんです。それで、5日間のストライキはそれで終結したんです。

終結して、いよいよ新年に向けて合意した内容の実行態勢に入ろうとした時に、何が起きたかというと、大阪広域協組は従来約束している「100」円を11月末で完全に止めてしまったんですね。それに加えて、約束したことを反故にしようとして彼らはキャンペーンを張りだしたんです。つまり、「関生の行ったストライキは威力業務妨害、組織犯罪対策法違反だ」と言って、協同組合の人たちから署名を集める運動をする。

そして、「ヤメ検」、検事を辞めて弁護士をやっている人たちをずらっと連ね、そして他の法律事務所の弁護士も含めて33人の弁護士を入れて、その弁護士をヤメ検がリードする。そしてこのヤメ検だけでは無理だと見たのでしょう。在特会(「在日特権を許さない市民の会」と称する差別排外主義集団)系の瀬戸弘幸という者を引き込んで、その在特会と共闘して関生つぶしをやる、在特会に宣伝力1を送るわ、移動する車を送るわ、それから在特会の活動全部を協同組合の資金を通じて保障するということで、在特会を取り入れたんですね。それで在特会と広域協組が一緒になって、今度はセメントメーカーがなし得なかった経営者会をつぶす、佃々に呼んで「もし連帯(関生支部)と交渉したり、連帯と話し合いをするということであれば、生コンの割り付けをストップする」と。99%の占有率を持っているものですから、割り付けをストップされたらその会社は仕事がなくなるわけです。会社は手形を出しているから、会社は回らなくなるわけです。独占的地位を利用した。優越的地位の濫用ですけど、これをやってしまったんです。そうしたら、会社を維持するために、不当なことをやられているんだけど、どうにもできない、ということで経営者会から脱退者が出てきたわけです。

もう一つはバラセメント輸送協同組合の脱退社。増長して今度は、法律違反であろうが何であろうが、何でもいいから手段を選ばずに、この機会に関生をつぶすんだ、ということで在特・広域協組がグルになった攻撃が今でも続いているんです。

ただ、これは大阪広域協組全部がそうかと言ったら、そうではないんです。今、大阪広域協組の理事長をやっているのは、もともと社会的に問題のある、宇部興産の関連会社の関西宇部出身だったのが木村貴洋というんですけど、この男は会社からも首になって、員外理

事になったんです。これは祭られている(かいらい)政権なんです。これを支配しているのは、地神秀治、矢倉完治、大山正芳というやくざ、チンピラみたいな男です。この3人が自社の利権、セメントの販売の利権をとる、骨材を納入する利権を取る、輸送の利権を取る、バラ輸送の利権を取る、それでシェアを自分の都合のいいように取る、そういう利権のために、事実上この3人が全部をあおって、それで「反連帯」と。そこへ共産党系の建交労(全日本建設交運一般労働組合)、それともともと連合の生コン産労(交通労連生コン産業労働組合)というのを引き連れて攻撃しているんです。その攻撃で、「今度は10億でも20億でも金を使って徹底的に関生をつぶすんだ」と言っているようですが、われわれからすると、金で結び付いている連中なんで、金の切れ目が縁の切れ目で、すぐほころびるだろうと発信していたんですが、もうすでにそういうほころびは出ているんです。

まずヤメ検の弁護士を中心とする33人に今突きつけているのは四つの法律に違反しているということです。一つは独禁法違反なんです。もう一つは協同組合法違反なんです。協同組合というのは相互扶助、「皆は一社の利益、ご社は皆の利益」の精神で成り立っているわけですね。ところが、優越的地位の濫用をするというのは、それ自体が協同組合の基本理念に反することなんです。だから、協同組合法違反。それから労働組合法違反。それと恐喝、洞喝しているので、これは刑事事件に相当することをやっている。

「四つの法律に違反しているようなことを弁護士が承知して名を連ねているのか」ということで質問状を出した。7日までに返事を寄こせと。そうしたらどうやら弁護士も、「団体交渉を拒否するのはおかしい」と言っています。それともう一つは、在特会の瀬戸は別のグループをつくっていて、その別のグループが朝鮮総連の本部に拳銃を発砲して逮捕されているわけです。そういうつながりがあるんですよ。

そうしたら、今度は大阪広域協組は、たぶん金をやったと思うんですが、この2、3日のことですが、在特会との関係に距離を置くようになっています。また、協同組合内部から、こんな法律違反のやり方については訴訟を起こすということで、2月16日にユ社が訴訟を起こしているんです。この流れが一気に強まりつつあるんです。ですからこれは、先ほどの3人、理事長を入れたら4人の体制は一気に瓦解する。

それを引き留めるために彼らは今何をしているかというと、「武委員長は4月10日に逮捕される」、それだけじゃなくて「16人が逮捕される」と宣伝し始めた。権力は何でも口実を付けて逮捕しますが、それにしても日を設定して逮捕するなんていうことはあり得ない話です。それをバーっと言うて、この3月11日に、神戸で、和歌山で工業組合から除名された人間と大阪の4人がグルになって「決起集会」をやるというんです。その名目は「関生支部は愚連隊といっしょだ」「企業を洞喝し解決金を取っている。そういうとんでもない組織と闘っていくために、決起集会をやる」と。

これはたぶん不発に終わると思うんですが、そういう状況にあって、われわれは明日(3月7日)、第1回目の集団交渉を予定しています。それから和歌山では、明日行動を予定しています。結局裁判とか労働委員会は、それとして活用するのであって、それに依存してはだめです。行動の中で、彼らの攻撃をはねのけていこうということです。

交渉というのは二つの意味があるんじゃないか。一つは要求を獲得するための手段なんですね。同時に、この交渉を仲間の団結を促進するための機会だと。つまり教育の機会だと。教育というのはいろいろ話をして、理解納得するだけではだめだ。それはそれで必要だけど、行動しながら理論を学ぶ。理論と実践を統一しなければ組合員の確信にはならないということで、今年の春闘は、経済的な要求は、安倍のやっている官製春闘ではなくて、自力の闘いで勝利する。困難と思われる側面はあるが、これを団結を促進するチャンスだと思ってますからね。

ですから経済要求をしっかり実現するようなことと、「沖縄の基地新設を絶対認めない」という沖縄の仲間と連帯する、原発を認めない、憲法改悪には絶対に闘って、もし実行されるならストライキをもって闘っていく、というテーマでしっかり闘うのが今年の春闘です。ちょうど3月11日は300台近く自動車を寄せてパレードをするんです。そういうことを旺盛に闘って、この今の安倍政権に鉄槌を食らわせていく、そして業界の刷新に向けてしっかり闘っていく。こういう春闘になると思うんですね。

 

何べんも裏切ってきた建交労

 

-先ほど、建交労の話が出ましたが、具体的にはどういう形で加担しているんでしょうか。

共産党が2004年に綱領からすべて改悪して、結果的に「資本主義の枠内で」ということで革命を放棄しましたね。それまでも変質しているんですが、非常にあからさまに変質したのは2004年以降ですね。共産党は、資本家と共存する、「大企業は敵ではない」ということです。日本共産党指導下の建交労は以前は、「中小企業は二面性がある」と分析していたんです、労働者を搾取する面と、大企業から収奪されている面。だから「一面共闘一面闘争」というのが基本路線だったんです。2006年にそれを破棄して、「共存共闘」になったんです。「共存共闘」ということは、「ストライキしませんよ」、共産党の「大企業と一緒にやりますよ」という路線といっしょなんですね。2006年に変質して、それから建交労は、この十数年、ストライキ一つやっていないんです。

それどころか、賃下げの先頭を切っているんです。この地域で、生コンの労働者の平均年収は、630万円を超しているんです。ところが建交労ができるところでは530万でスタートする。100万円も年間違いますと、これが足かせになるわけです。だけどわれわれがそんなことを無視して「630万以上上げよう、平均して700万以上にしよう、750万めざそう」と言う。それに対して、建交労は下に下に下げようとする。そうやって妨害していたんですが、2015年に先ほどの「100円払う」という合意を建交労はかぎつけたんです。

2015年5月、「関西生コン関連連合会という労働組合をつくりましょう」と、「今まで共産党が『利権暴力集団』と関生を攻撃したのが誤りだった。これからは反省して、一緒にやりたい」と言ってきたんです。その時、うちの組合員は、「あいつら裏切るのを何とも思っていないから、そう簡単に入れたらいかんのじゃないか」という話があったんですが、「いや、どうやら今度は反省しているようだから」ということで、いろいろ議論の末、彼らも一緒になってやろうかということになったんです。

それでスタートした。そして去年の12月のストライキの時も、「ストライキできない」と言うから、「じゃあ、ストライキを妨害せんといてくれ」と。彼らは「妨害しません」と言うていた。

ところが、その12月12日の時に、後で分かったんですが、11月の末に広域協組が100円をストップしていたんです。それまで配分いくらかありついていたわけです。建交労は何の汗も流さなかったんですが。20%ほど、100円のうち20円、相手に渡していたんです。それが途絶えてしまったんですね。金目当てだけでうちに一緒にやろうと言っていただけなんです。それが入らないと見るや、コロッと裏切って、12月27日に「連合会を離脱する。ストライキは勝手に連帯がやった」と。「妨害しない」と会議で約束しているのに、それをつぶしにかかって、相手にすり寄って、相手からお金を得ようとした。どうやらーカ月分だけは入ったようです。ところが広域協組は、「釣った魚にエサはやらん」ということで、持続的に金をやるわけじゃないですね。

建交労は今、自己矛盾に陥っているようです。直前になってから裏切りをするんです。これはほとほと、今までも82年の時も裏切ったし、2005年の私が弾圧された時も裏切ったし、何べんも裏切っているんですけどね。労働者はそうじゃないんですけど、幹部は腐りきって、ダメなんですね。建交労という、共産党系の民間単産で有力組織なんですが、腐りきっている実態を体験しましたね。

彼らのやり方は、すぐすり替えをするんです。要するに、「労働組合として、連帯は協同組合の人事権に介入している」とか、「ストライキを勝手にやった」とか、一緒にやって「自分たちができなかったら関生支部のストは妨害しない」と言っておきながら、妨害したんですけどね。一応労働組合の名前をかたっているわけですから、労働者は、共産党と言えぱ労働者の利益代表と思いますよね。それで中身が全然裏切ることをする。権力や資本というのはもともと労働者を搾取するために分断してみたり、思想的な攻勢をかけたり、差別したりすることによって成り立っている、自分たちの支配を成り立たせようとするわけですね。そういうものだということは分かるんですが、労働者面をしてきて、後ろから鉄砲を撃つようなことを平気でやるのが、共産党とか建交労です。

ここは、今安倍政権に対する不満が高いので、共産党は「野党連合を組んだらうまくいく」と提唱し、とにかく政権を取り換えることが可能だと幻想を振りまいているんです。同じ現場でわれわれは彼らの裏切りを何回も体験すると、共産党の言うてることのインチキがよく分かります。共産党と言いながら共産主義者じゃないですからね。こういう連中と対立している側からすると、眉唾もので、そんな信頼して付いていったら、あとで2階に上がって梯子を取られるのと同じ目をするよということを発信したいですね。

 

中小企業の労働運動の典型をめざす

 

-今後の展望をどういうふうに考えておられますか。

階級対立が非常に先鋭化するという時代状況ですので、敵そのものの力が全体的に弱ってきているんですね。それを敵が大きいとみて敗北主義に陥る傾向が非常に強いんですよね。そこを闘う立場の人間が、今の世界、今の日本の支配層がいかに困難に陥っているのか、という立場で見るのか、それともいろんな法案をむちゃくちゃ通したりするので「いやあ、敵は強い」とみるのかで全然違ってくるんです。われわれは前者の立場をとる。

そういう観点に立っていくと、われわれの運動は単に生コン建築関連の労働者の状況が向上するだけはなくて、もちろんそれはそれとして、一生懸命やらなければいけません。労働組合ですから、経済闘争しない労働組合になって、政治主義的になれば、多くの仲間を結集することはできませんから、それはしつかり頑張っていかなければいけません。

しかしながら、そこだけに限定するようなやり方ではなくして、世の中を変えていくんだと。今の資本主義は腐りきっているから、東芝に始まり、東レから日産から、日立、あるいは宇部興産、リニアで談合している大成建設、鹿島、大林、清水。腐りきっているわけですよ、この社会は。それでこういう腐りきった社会は、金もうけのために寄っている連申が腐りきるわけですから、こういうのは労働者の本当に魂を入れた闘いをすれば、こんなのいちころだと。そういう気持ちをまず持たなきゃいかんということですね。そのためには、与えられている課題について、団結の輪をしっかり広げていく。そして広げていくというのは他に依存するのではなく、自ら闘いながら広げていく。

世の中をひっくり返すいいチャンスを迎えているとみておりますから、この状況こそ、われわれにとって幸いなる機会を与えてくれている。掲げているテーマをしっかり闘いの中で実現していけば、中小企業の中における労働運動の典型はこれだ、大企業の収奪と闘い、中小企業の利益を還元させる、労働者の雇用も賃金も安定させていく、労働組合がめざすべきことは、個別の企業を対象とするのではなく、産業別的な賃金制度、産業別的な雇用制度、会社がつぶれてもその産業が存在している間は、その産業が連帯して雇用保障を行うという制度、産業別福祉制度、そういうことを実現することを展望して、しっかり産業別運動を全国に発信し、取り組んでいく。

そういう運動の中に若者を中心とする人材を育成する、人を育てるということです。今、3年目に入っているんですが、隣の労働学校がスタートして、今若者を中心にして学校が大きく結集しているんですよ。東京の仲間たち、現役の学生とか、いろんな東大とか一橋の学生が、この腐りきった社会を変えていくために、関生と一緒に勉強したいという人が寄ってきているんです。大阪の場合は、京大とか同志社、そういう若者がしっかりと理論と実践の中で、闘いを共有して、鍛えていけば、それが大きな力に必ず転化する。若者を育てていくにはだいたい3年から5年くらい、期間が必要ですが。

中小企業の人たちに希望を与えるようなこと、そしてそこで働いている人たちの、闘い方によっては、賃金、労働条件、これで安定しますよと、今関西の生コンの賃金は平均して630万円以上ですが、低いところも中には入っているものですから630万円。700万超しているんですよ。年間休日が125日ですからね。闘いがあれば、中小企業で働いている4千数百万人の、しかもワーキングプアー1000万とか、言われる年収が400万円以下の人たちが圧倒的に多くなっているでしょう。しかし、われわれの関西の場合は、日雇いの人たちも年収400万円を超しておりますからね。ですから、中小企業の中でも、闘い方によってこういうことができますよということを示し、世の中を変えていく運動を続けていかねばと思います。私はそれは可能な時代に入った思います。

76歳ですから(笑)、年齢的にはかなり年いったんですが、私の目の黒いうちに壮大な、今日申し上げたことを必ず実現する。

-運動を始められて、委員長になられたのが23歳でしたね。50年以上ですね。

私は一貫しているのは、共産党の裏切りがあり、権力が日経連とグルになって攻撃、セメントメーカー、ゼネコン、強大資本からの攻撃、やくざに殺されかける、いろんな想像を絶する攻撃を受けたんですが、私自身の世界観、人生観は、「われわれは社会の主人公だ、労働者は必ず天下を取るんだ」というゆるぎない信念ですから、絶対あきらめない。絶対粘り強さを失わない、どんな苦境になっても、韓国の仲間たちの闘い、戦前の小林多喜二などの共産主義者が身を挺して闘ったことを考えたら、われわれの闘いというのは知れているじゃないかと。だから、前科5犯で、何べんもバクられたりもしたけど、それは私にさらなる成長の機会を与えてくれたと思っていますから、そういう信念はゆるぎないですね。「いついつ逮捕する」と精神的に打撃を与えようとしているでしょうけど、大いに結構、どうぞ来てくださいと(笑)いう感じですね。

-しかし、向こうから見たら、そういう信念の人が頑張っていられるというのはすごい脅威ですよね。今日はどうもありがとうございました。





問い合わせ・ご意見などはこちら

名前
メール
本文
記事検索
私たちの紹介
「改憲・戦争阻止!大行進」運動(呼びかけ:西川重則(とめよう戦争への道!百万人署名運動事務局長)、花輪不二男(世田谷地区労顧問)、森川文人さん(憲法と人権の日弁連をめざす会)、動労千葉・関西生コン支部・港合同などの労働組合)の呼びかけに応え、東京北部地域(練馬区/板橋区/豊島区/文京区/北区)での実行委員会を結成し、活動しています。

◎呼びかけ人 五條敦(とめよう戦争への道!百万人署名運動・東京北部連絡会代表:板橋区)/岡田英顯(「君が代」被処分者:北区)/高橋浩(東京一般労組東京音楽大学分会長:豊島区)/一陽会労働組合(練馬区)/一般合同労働組合東京北部ユニオン(豊島区)/NAZENいけぶくろ(豊島区)/無実の星野文昭さんを取り戻そう!東京北部の会(板橋区)

◎連絡先
住所:〒171-0021東京都豊島区西池袋5-13-10-603 東京北部ユニオン気付  
TEL:03-6914-0487 
メール:tokyohokubu-daikoushin@yahoo.co.jp

◎地域運動体→
 つながろう!北区憲法トークCafe
 STOP!改憲ねりま懇談会
 NAZENいけぶくろ など
QRコード
QRコード